親知らず抜歯後の腫れはいつまで?痛みの経過とドライソケットの防ぎ方
親知らずを抜いたあと、顔が腫れてきたけれど、これは普通の経過なのか、いつまで続くのかと不安になる方もいるかもしれません。痛みの強さや腫れ方は人によって違うため、ほかの人の話だけでは判断しにくいものです。
この記事では、オーサムデンタルクリニックの院長が、抜歯前の検査から術後の経過の目安、ドライソケットを避けるための過ごし方までをお伝えします。
親知らず抜歯後の腫れは2〜3日目がピークで、1週間ほどで落ち着く

抜歯後の腫れは、多くの場合2〜3日目に最も強くなり、その後は徐々に引いていきます。大阪歯科大学の口腔外科の案内によると、抜歯後は当日から2~3日をピークに患部の痛みと顔の腫れを生じますが、多くは1週間程度で改善するとされています[1]。
腫れは、体が傷を治そうとする炎症反応の一つです。ただし、程度には個人差があります。
腫れの大きさは抜歯の難しさで変わる
歯ぐきを切開したり、骨を削ったりする抜歯では、体への負担が大きくなり、腫れや痛みが強く出たり長引いたりする傾向があると言われています。まっすぐ生えた親知らずと、骨の中に横向きに埋まった親知らずでは、経過が異なることがあります。
一般に、上の親知らずより下の親知らずのほうが腫れやすいと言われています。
痛みは早め、腫れは遅れてピークを迎える
痛みは麻酔が切れてから出はじめ、抜歯当日から翌日にかけて強く感じやすい時期です。腫れはそれより少し遅れて、2〜3日目に目立つのが一般的です。
処方された鎮痛薬は、痛みが強くなる前に、指示どおりの用量と間隔で飲むようにします。
日ごとに楽になっているかが判断の目安
腫れの大きさそのものより、日ごとに改善に向かっているかどうかが目安になります。3〜4日目を過ぎても腫れや痛みが強まる、熱が出る、膿のような味やにおいがあるといった場合は、感染などが隠れていることもあります。我慢せずご相談ください。
抜歯前に歯科用CTで神経・血管との距離を確認して計画を立てる

下の親知らずは、根の先が顎の骨の中を通る神経や血管に近いことがあります。当院では、抜歯前に低被ばくの歯科用CTで神経・血管との距離を確認し、抜く方向や進め方を計画します。
CTは、レントゲンだけでは分かりにくい立体的な位置関係を見るために使います。
下顎の親知らずは神経の通り道に近い
札幌医科大学の口腔外科学講座は、下顎の中を通る神経と血管の近くを埋伏した親知らずの根の先が走っていることが多く、抜歯には専門的な知識と配慮が必要だと説明しています。同講座では、レントゲンで近接が確認された場合にCTで位置関係を詳しく調べています[2]。
J-STAGE掲載の論文によると、下顎智歯の根尖は下歯槽神経血管束と近接しており、抜歯によってオトガイ神経知覚異常が起こる可能性があるとされています[3]。オトガイ神経知覚異常とは、下唇やあごの皮膚の感覚が鈍くなる状態です。同論文は、発現率を0.5〜5%と報告された数値として紹介しています[3]。
CT検査から抜歯までの流れ
当院での大まかな流れは次のとおりです。
- 問診・口の中の診察、レントゲン撮影
- 必要に応じて歯科用CTで、神経・血管との距離、歯の向き、骨の状態を確認
- 結果をもとに、抜く場合・経過を見る場合の選択肢を説明
- ご納得いただいたうえで、抜歯の日程を決定
親知らずは必ず抜くものではありません。症状の有無や歯並びへの影響を踏まえて、一緒に判断します。詳しくは歯科口腔外科(親知らず・顎関節症・静脈内鎮静法)のページもご覧ください。
痛みへの配慮と、怖さがある方への選択肢
当院では、表面麻酔、極細の注射針、注入の圧力を一定に保つ電動麻酔注射を用いて、痛みに配慮した処置に努めています。歯科治療が怖い方には、静脈内鎮静法(日帰り可)もご案内しています。当日は車の運転ができませんので、ご来院方法を事前にご相談ください。
当日から数日間の経過は「痛みが先、腫れが後」に進むのが目安
抜歯後の経過は、出血、痛み、腫れの順に山を越えていくのが一般的です。以下はあくまで一般的な目安で、抜歯の難しさや体調によって前後します。
| 時期 | 腫れ | 痛み・出血 |
|---|---|---|
| 当日 | まだ目立たない | 麻酔が切れると痛みが出る。唾液に血が混じる |
| 1日目 | 少しずつ出てくる | 痛みが強く感じやすい時期 |
| 2〜3日目 | ピーク(頬や顎まで広がることも) | 徐々に和らぐ |
| 4〜7日目 | 目に見えて引いていく | 鎮痛薬の回数が減っていく |
| 1週間以降 | ほぼ目立たなくなる | 違和感が残ることもある |
腫れが引くまでの期間は、1週間前後を一つの目安にしてください[1]。
当日は出血と安静に気をつける
抜歯直後は、清潔なガーゼをしっかり噛んで止血します。当日は激しい運動、長風呂、飲酒を避け、シャワー程度にとどめます。血流が良くなると、出血や腫れが強まることがあるためです。
食事と歯みがきは傷口を刺激しない工夫を
麻酔が効いている間は、頬や舌を噛みやすいため、感覚が戻るまで食事を待ちます。食事は、おかゆ、豆腐、ヨーグルトなど、やわらかく刺激の少ないものにします。反対側で噛むのも大切です。
歯みがきは、傷口を避けて、ほかの歯をやさしく磨きます。
こんなときは早めに受診を
次のような場合は、我慢せず受診してください。
- 出血が止まらない
- 腫れが引かない、または日ごとに強くなる
- 発熱がある
- 3日目以降に痛みが強くなってきた
ドライソケットは血餅を守る過ごし方でリスクを抑えられる

ドライソケットは、抜歯後の穴を覆う血のかたまり(血餅)が剥がれ、骨が出てしまう状態です。強い痛みの原因になります。血餅を守る過ごし方で、起こるリスクを抑えることを目指します。
症状は「数日後に痛みが強まる」のが特徴
通常、抜歯後の痛みは時間とともに和らぎます。一方、ドライソケットでは、いったん落ち着いたあとに痛みが強まるのが特徴です。次のような症状があります。
- 抜歯後数日たってからズキズキした痛みが出る
- 鎮痛薬が効きにくい
- 耳やこめかみのほうまで痛みが広がる
- 口臭や嫌な味が気になる
血餅を守るために避けたい5つの行動
血餅を守るために、特に最初の1〜2日は次の行動を避けます。
- 強いうがい(口に含んでそっと出す程度にします)
- 舌や指で傷口を触る
- ストローで吸う
- 喫煙
- 飲酒や激しい運動
出血が気になって何度もうがいをしてしまう方が多いのですが、かえって血餅が剥がれる原因になります。
疑わしいときの対応
ドライソケットが疑われる場合は、一般的に傷口の洗浄や保護、痛みを和らげる処置を行います。自然に落ち着くのを待つのではなく、痛みが強いときは早めにご連絡ください。治療後も、傷口が落ち着くまで経過を診ていきます。
まとめ
- 腫れは2〜3日目がピークで、多くは1週間前後で落ち着きます。大阪歯科大学の案内でも同様の経過が示されています[1]。
- 痛みは当日から翌日、腫れは2〜3日目に強くなりやすいと言われています。3日目以降に強まる場合は、早めの受診をおすすめします。
- 下の親知らずは神経・血管に近いことがあるため、当院では抜歯前に歯科用CTで位置関係を確認して計画します[2][3]。
- ドライソケットは血餅が剥がれると起こります。強いうがい、舌で触る、ストロー、喫煙を避けるのが基本です。
- 痛みが気になる方には、表面麻酔・極細針・電動麻酔、静脈内鎮静法(日帰り可)などで配慮しています。
抜歯後の腫れが引かない、出血が止まらない、強い痛みが続くといったときは、我慢せずご連絡ください。オーサムデンタルクリニックでは、親知らずのご相談を初めての方へ(初診の流れ)のページからご案内しています。WEB予約・LINE予約のほか、お電話(045-489-7350)でも受け付けています。土日も診療しています(休診は木曜・祝日)。ライズモール常盤台2階にあり、受付で駐車券をお出しいただくと2時間無料です。
参考文献
[1] 大阪歯科大学「口腔外科」osaka-dent.ac.jp
[2] 札幌医科大学 医学部 口腔外科学講座「親知らず」web.sapmed.ac.jp
[3] J-STAGE「下顎智歯抜歯における歯科用コーンビームCT画像所見とオトガイ神経異常発現との関連性について」jstage.jst.go.jp